大会テーマ「核なき世界-抵抗としての記憶と想像力-」
2010年 6 月 19 日(土)20 日(日)
場所:お茶の水女子大学
開催趣旨
2009春の大会テーマ「綻びぬ平和」を継承し、2010春の研究大会では「核兵器のない世界」を実現するために必要不可欠な歴史回顧と現状分析を踏まえた将来展望を企画する。
部会Ⅰでは、2009年4月のオバマ米大統領によるプラハ演説以降の経緯を踏まえたうえでグローバルな核軍縮の可能性を検討し、とりわけ北東アジア非核化への道筋を構想する。また部会Ⅲでは、安保改定50年にあたり、「日米同盟」が沖縄の自治と平和をどのように歪めてきたかを分析する現場の声に耳を傾けたうえで、「日米同盟」を歴史的に再検討し、日本の外交・安全保障政策は「核なき世界」にむけてどのような原理に基づいて構築されるべきかを理論的/実践的に検討する。
他方、核軍縮の長く険しい道程をたとえ走破したとしても、その先に現れる「核なき世界」が戦争と暴力、貧困と差別のない世界である保証は、むろんない。そこで部会Ⅱでは、「核なき世界」を戦争と暴力、差別と偏見のない世界につなげていくために、韓国併合100年の節目の年に、主に朝鮮と沖縄に焦点をあてながら、現在の世界にもなお色濃く残る植民地暴力の跡をたどり、暴力に抗い、平和と非暴力を構想する歴史的な記憶と想像力のありかたを討議したい。
そして最後に部会Ⅳでは、「世界の周辺から考える」と題された開催校企画と呼応しながら、現代日本社会の貧困に焦点をあて、「貧困なき平和」を構築する手だてを共に考えたい。
6月19日(土)
午前の部
9:30〜12:00
部会Ⅰ
〈核なき世界〉にむけて-核軍縮の可能性-
報告1:秋山信将(一橋大)
「核軍縮―多国間交渉の限界と今後の可能性」
報告2:川崎哲(ピースボート)
「NPT再検討会議後の課題-NGO・市民運動の視点から」
報告3:木宮正史(東京大)
「朝鮮半島核危機のメカニズム―冷戦の遺制と脱冷戦の展開」
討論:高原孝生(明治学院大)
司会:黒沢満(大阪女学院大)
12:00〜12:50
休憩
午後の部
12:50〜14:50
ドキュメンタリー映画上映
"The Strangest Dream"
ノーベル平和賞を1995年に受賞したサー・ジョセフ・ロートブラットの生涯を描いたドキュメンタリー
[英語、2008年、カナダ]
15:00〜15:30
総会
15:40〜18:30
部会Ⅱ
植民地暴力の後/跡で言葉を-消された記憶を生き返らせるために-
報告1:新城郁夫(琉球大)
「他殺としての自殺―中屋幸吉遺稿集『名前よ立って歩け』における沖縄と植民地暴力」
報告2:崔真碩(広島大学)
「朝鮮人という名乗りが孕むもの」
報告3:テッサ・モーリス=スズキ(オーストラリア国立大学)
「植民地朝鮮と暴力の記憶と忘却」
討論:李静和(成蹊大学)
司会:阿部小涼(琉球大)
開催校企画
シンポジウム「世界の周辺から考える―地平の遠く、知識の果て」
報告1:内海成治(お茶の水女子大)
「伝統的社会における近代教育の位相―マサイの子ども」
報告2:足立真理子(お茶の水女子大)
「排除と依存のはざまで―再生産領域のグローバル化の現在を問う」
報告3:井上礼子(パルシック)
「紛争と国際社会の役割―スリランカの場合」
討論1:熊谷圭知(お茶の水女子大)
討論2:幡谷則子(上智大)
司会:小林誠(お茶の水女子大)
18:45〜
懇親会
6月20日(日)
午前の部
9:30〜12:00
部会Ⅲ
安保改定50年 -核なき世界と「日米同盟」-
報告1:我部政明(琉球大)
「『日米同盟』の再検証-安保、核密約、沖縄」
報告2:島袋純(琉球大)
「沖縄の自治と『日米同盟』」
報告3:遠藤誠治(成蹊大)
「<核なき世界>と<戦争なき世界>―東アジアにおける代替的安全保障への展望」
討論:大津留(北川)智恵子(関西大)
司会:油井大三郎(東京女子大)
自由論題部会
報告1:西村謙一(大阪大)
「発展途上国の環境ガバナンスと企業」
報告2:古澤嘉朗(広島大院)
「平和構築における「警察」と「警察活動」の乖離-シエラレオネの警察改革支援を事例に-」
討論:
栗田英幸(愛媛大)-西村報告に対して
山根達郎(広島大)-古澤報告に対して
司会:上村雄彦(横浜市立大)
12:00〜12:20
休憩
午後の部
12:20〜14:20
ドキュメンタリー映画上映
"The Strangest Dream"
14:30〜17:00
部会 Ⅳ
貧困と平和-〈核なき世界〉からこぼれ落ちるもの-
報告1:湯浅誠(自立生活サポートセンター・もやい)
「貧困と平和-日本の現状」
報告2:橋本健二(武蔵大)
「格差と貧困-階級論の観点から」
報告3:岩川直樹(埼玉大)
「子どもの貧困と平和」
討論:ロニー・アレキサンダー(神戸大)
司会:栗原彬(立命館大)