1973年に設立された本学会は、変わりゆく現実に対応しながら、平和な世界を実現するための学術活動を持続的に展開してきました。国家間紛争はもとより、軍事主義、不均衡な社会構造、貧困、環境・人権への脅威、差別など人間の安全を脅かす諸要因の除去に向けて、学際的な研究を積み重ね、平和の構想を提示してきています。
通常の活動として、定例の春季研究大会と 秋季研究集会のほか、全国7つの地域における地区研究会の実施、さらに、学会誌『平和研究』(年2号)のオンラインでの刊行と無料公開、平和賞・平和研究奨励賞の授与、平和研究助成金の支給、平和学に関連する事典や書籍の編集・刊行などを行っています。
各地からつどう多彩な専門領域を有する会員の数は現在およそ600名ですが、平和をとりまく諸条件は絶えざる変動を続けています。多様な暴力が行使され続けている現代において、<脱暴力>の思想に共鳴するより多くの人たちに、本学会の実践的研究の輪に加わっていただきたいと念願しています。
会長:清水奈名子
世界各地で多様な暴力が行使され、平和が破壊される事態が続くなか、暴力によって失われていく命や生活を前にして、私たちにできることは何なのでしょうか。巨大な暴力が人々の命や生活、そして環境を破壊するという事態は、何の前触れもなく始まるわけではありません。暴力的な事態が発生するまでに、小さな規模での平和の破壊が続くことが、これまでの研究から明らかにされています。それらはなぜ発生するのか、またどうすれば深刻な事態になることを予防できるのかについて、日本平和学会では50年の歴史を通して議論を深めてきました。
第26期では、先人たちが積み上げてきた蓄積から学ぶと同時に、今後の社会構想を描くために、「平和研究の生成と展開」と「ジェンダーと交差性」の2つのプロジェクトチームを立ち上げました。平和学会の強みである学際性を活かし、多様な分野・方法論を相互に学びあう場を提供しつつ、暴力の極小化を意味する平和という困難な課題に学術的に取り組むことの意義についての議論を、活性化することを目指しています。いかに困難であっても、暴力を用いずに平和な社会を作っていくための条件を粘り強く考え続けるという価値志向的な学問の営みに、ぜひ加わっていただきたいと願っています。
副会長:佐伯奈津子
世界各地で差別や偏見が拡大し、人びとや社会の分断が起きています。学際的な研究に加え、平和を追求する実践にも携わる会員の集う日本平和学会という場で、さまざまな暴力に平和研究者がどう向き合っていけばいいのか、果たすべき役割と責務はなにか、みなさまとともに考えていけると幸いです。
副会長:佐藤史郎
26期の副会長に拝命いたしました。微力ながら学会のために尽力いたします。とりわけ院生や若手研究者にとって魅力ある学会となるよう努めてまいります。また、自らが所属する北海道・東北地区研究会だけでなく、できるかぎり全国の地区研究会にも参加したいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局長:中内政貴
この度、事務局長を務めさせていただくことになりました。研究大会・研究集会、学会誌の発行など、さまざまな学会の活動がスムーズに進められるよう、微力ながら努めてまいります。不慣れな点・不手際も多々あるかと思います。皆様のご協力・ご指導をいただけますとありがたく存じます。どうぞよろしくお願いいたします
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