私たちは、紛争の原因と平和の条件に関する研究を行う日本平和学会の理事として、イスラエル軍の攻撃により、パレスチナ人がジェノサイド(集団殺害/集団抹殺)の危機にあることを深く憂慮します。
10 月 7 日以降、ネタニヤフ首相やガラント国防大臣などイスラエル政府高官はジェノサイドの意図を公言し、イスラエル軍はガザ地区のパレスチナ人に対する無差別攻撃を続けています。この事態を踏まえ、多くの国連人権理事会の特別報告者が、イスラエルの行動はパレスチナ人に対するジェノサイドを起こしつつあり、それを阻止する義務が国際社会にあると訴えています。また、グテーレス国連事務総長が述べたように、パレスチナ抵抗組織の攻撃は空白から生まれたものではありません。イスラエルのパレスチナ人に対する人種差別体制(アパルトヘイト)とその他国際犯罪に対する不処罰に原因があります。
そのため私たちは、アパルトヘイト期の南アフリカに対し国際社会が取った「ボイコット・資本引揚げ・制裁」をイスラエルに対しても実行するよう、パレスチナ人が政治的立場を越えて国際社会に求めていることを、真剣に受け止める必要があります。
このことを踏まえ、私たちは日本政府に以下を求めます。
- ジェノサイドは、最も重大な国際犯罪です。各国と連携し、ジェノサイドを阻止する行動をとって下さい。
- 国際刑事裁判所があらゆる当事者の戦争犯罪等を調査し、容疑者を起訴するために必要な支援をして下さい。
- 日・イスラエル投資協定を破棄し、「日・イスラエル経済連携協定に関する共同研究」を停止して下さい。
- 「日本国防衛省とイスラエル国防省との間の防衛交流に関する覚書」に基づく自衛隊とイスラエル軍の共同研究を中止して下さい。
日本企業に以下を求めます。
- イスラエルの政府機関やアパルトヘイトに加担する企業との協働・取引・資本提携をしないで下さい。すでに行っている場合は停止してください。
日本の研究者と学術研究機関に以下を求めます。
- イスラエルのアパルトヘイトと結びついた学術研究機関との共同研究や学会出席等を通じた関与を避け、すでに行っている場合は取りやめて下さい。同時に、 アパルトヘイトへの加担とならない形で、 民族・宗教・国籍に関わらず、平和を真剣に希求する研究者個々人との分野・国境を越えた批判的対話を推進することを求めます。
私たちは、民間人の甚大な被害を憂慮し、人権を尊重し、国際法を遵守する立場から、ジェノサイド阻止のための行動と即時停戦を求めます。さらに、アパルトヘイトを廃絶するため、パレスチナ/イスラエルでの平和を求めるすべての市民と連帯し、その活動に貢献することを表明します。そして、どんな困難な状況でも、研究者としての社会的責任を自覚し、平和を模索するために力を尽くします。
2023 年 12 月1日
日本平和学会理事会有志