「平和フォーラム」は、平和にかかわる喫緊の課題を批判的に分析し、広く社会に向けて平和の構想を提示することを目的にしています。主に日本と東/北アジアの状況を取り上げ、平和研究・平和運動の多彩な視点を提示していきます。21世紀の深まりとともに緊張が増す時代状況を前に、「脱暴力」の理念にもとづく議論が広がっていくことを念願しています。(第21期広報委員会「平和フォーラム」担当・阿部浩己)
※このページに掲載する文章の内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、日本平和学会および執筆者が所属する他の組織の公式的な見解を示すものではありません。
2020年10月1日、菅内閣総理大臣は、第25期日本学術会議が推薦した105名のうち6名を排除して任命した。「総合的、俯瞰的観点」から任命を拒否したというあいまいな説明は、学問に携わる人間の国家権力への恭順を暗に求めたものにほかならない。今回の日本学術会議への介入を契機に、今後政府は、学問の自由や言論の自由への支配をさらに強化してゆく可能性がある。
言うまでもなく、日本国憲法第23条で保障された「学問の自由」は、第21条の「言論の自由」と表裏一体の関係にあり、学問の自由の危機は、言論・表現の自由の破壊に不可避的に結びつく。
他方で、お茶の間のテレビやネットの世界では、学者の「特権」に対する揶揄や、軍事研究を「学問の自由」として肯定するデマゴギーも拡散されており、私たちの研究・教育の意味それ自体も問われ始めている。
私たちは、戦前に日本が歩んだようなファシズムへの道を、繰り返してはならない。戦争や紛争がないだけでなく、構造的暴力が克服され、多様な価値を尊重し、多文化が共生できるような平和な社会へと至る道筋を目指すために、本学会として、学問の自由・言論の自由を問い直す必要があると思われる。この危機を乗り越える英知を集めるために、平和フォーラム「今、学問の自由・言論の自由を問う」を開設した。会員各位の忌憚のないご意見をお寄せいただきたい。
2020年10月12日
フォーラム幹事 木戸衛一・堀芳枝
「『放送禁止歌』と学術会議任命拒否問題 」 花房朋樹 (2022年3月16日)
「日本学術会議会員任命拒否問題と『報奨金化する社会』」 熊本 博之(2021年 2月 8日)
「学術会議 任命拒否 鈍い世論 政治教育に欠陥」[徳島新聞寄稿 (20201219)] 饗場 和彦(2021年 2月 8日)
「国立大学の『自発的隷従』」 木戸 衛一(2020年11月3日)
「我が国の『平和』『学問』を取り巻く環境の深刻化」 高橋 博子(2020年11月2日)
新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に猛威を振るい、日々多くの命が奪われている。「第二次世界大戦以降で最も困難な危機」と国連事務総長が呼ぶこの非常事態のなかで、人々の命と権利を守り、社会の崩壊や経済的困窮の広がりを防ぐことは、私たち共通の緊急課題である。また、この危機とそれへの対処は、日本や世界の政治、経済、社会のあり方を今後大きく変容させるだろう。そうした長期的影響を視野に入れつつ、今必要な視座、分析、提言を共有するためのフォーラムをウェブサイト上に設けることとした。
ウイルスとのたたかいを「戦争」と称する言説が広がるなか、人間の尊厳を基本的な価値として平和を探求する日本平和学会として、公論を喚起していきたい。会員の皆さんの活発な投稿を呼びかける。多くの人々の想像を超えた新たな状況が生まれている今、旧来の専門領域を越えた議論が求められている。このフォーラムが、対立と分断を乗り越え、社会各層の連帯を通じた危機克服への貢献となることを願うものである。
2020年4月8日
フォーラム幹事 佐渡紀子・川崎哲
「アフターコロナ(AC)が開く新たな世界は可能か?『グローカル』な世界システム変革の行方」 古沢広祐(2021年2月14日)
参考エッセイ(日本環境アセスメント協会 2021年1月 NO.168)
「日本平和学会平和賞受賞への感謝とコロナ禍のなかの沖縄基地建設反対運動の現状報告」 (平和賞受賞者による特別寄稿) 山城博治
(2020年6月8日)
「新型コロナウィルス感染症対策の検証を始める時が来た」 上村英明(2020年5月31日)
「コロナ後の「生類の平和」のために」 小田博志(2020年5月25日)
「平和学会への提言」 安積遊歩(2020年4月25日)
「世界平和アピール七人委員会のアピール『ウイルス禍とのグローバルな闘いを通じて平和を』について」島薗進(2020年4月20日)
「コロナ危機は世界を軍縮に導くか」 川崎哲 (2020年4月18日)
「国連はグローバルな即時停戦より「積極的平和」の実現を」 米川正子(2020年4月14日)
2020年春季研究大会(5 月 31 日)平和フォーラム連動緊急企画部会オンライン開催
コロナ危機に立ち向かう
第一部 身の回りの暴力を見据える
報告:安藤歴(大阪大学大学院)「学生の貧困を考える̶̶新型コロナウイルス感染拡大と非常事態宣言を受けて」
報告:近江美保(神奈川大学)「新型コロナウィルスとジェンダーをめぐる問題」
報告:勅使川原香世子(ことぶき共同診療所)
「新型コロナ対策の現場で起こっていること̶̶フィリピンと日本を中心に」
報告:安積遊歩「コロナ禍の中に跋扈する優生思想を問う」
モデレーター:川崎哲(ピースボート)
第二部 コロナ危機と新たなグローバル社会
報告:米川正子(筑波学院大学)「コロナ危機中も、なぜ紛争が止まらないのか」
報告:川崎哲(ピースボート)「コロナ危機が変える「安全保障」概念」
報告:蓮井誠一郎(茨城大学)「コロナウィルス禍から見た「環境問題」」
報告:竹中千春(立教大学)「パンデミック後の民主主義と国際社会」
モデレーター:佐渡紀子(広島修道大学)
最終更新:2020年6月6日
「憲法改正と原発事故 ―緊急事態条項について考える―」 清水奈名子
「憲法と平和-憲法と戦争責任」 木戸衛一
「憲法と平和 ~『島』から考える」 ロニー・アレキサンダー
「憲法と平和〜インドネシアに関わる者として〜」 佐伯奈津子
2020年2月公開
Putting the Right of Collective Self-Defense in Perspective
自衛隊発足60年目の本年(2014年)7月1日、臨時閣議において、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」閣議決定が行われました。同閣議決定は、日本を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、「脅威が世界のどの地域において発生しても、わが国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている」との認識の下、「日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより…わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠」とし、「積極的平和主義」の立場から国際社会の平和と安定に取り組んでいく旨を明らかにしています。
深慮すべき多くの問題を含んだこの閣議決定にあって、とりわけ重大な関心を集めたのが、集団的自衛権の行使にかかる憲法解釈の変更です。本フォーラムでは、平和学の視点に立って、集団的自衛権をめぐる問題を批判的に分析する論考を漸次掲載していきます。
「『集団的自衛権をめぐる議論に対する国際協力NGO・JVCからの提言』について」長谷部貴俊(日本国際ボランティアセンター)
「平和憲法の危機に平和学はどう向き合うか」川崎哲(NGOピースボート共同代表)
「集団的自衛権行使解禁に危機感を覚えない世論」 麻生多聞 鳴門教育大学准教授
最終更新:2014年11月17日
Contemporary Developments on the Right to Peace
2008年から、国連人権理事会において平和への権利宣言の起草作業が進められています。国連では1960年代から平和と人権の関連性が議論されるようになり、84年には総会で「人民の平和への権利宣言」にかかる決議が採択されていますが、08年来の議論は、こうした実績を後背に据えつつ、対テロ戦争など新たな脅威に抗う市民社会のイニシアティブの下に可能となったものです。
人権理事会での議論は最終局面に入っています。以下では、宣言の起草過程を主導してきた方の論考とともに、起草過程に詳しい研究者とNGOの方の分析を通して、平和への権利をめぐる国際社会の現状を紹介します。(阿部 浩己)
「THE 30TH ANNIVERSARY OF THE DECLARATION ON THE RIGHT OF PEOPLES TO PEACE:AN OPPORTUNITY TO REINFORCE THE LINKAGE BETWEEN PEACE, HUMAN RIGHTS AND DEVELOPMENT」
Ambassador Christian Guillermet Fernández and Dr. David Fernández Puyana
「“THE 30TH ANNIVERSARY OF THE DECLARATION ON THE RIGHT OF PEOPLES TO PEACE”の背景について」
高部優子(横浜国立大学都市イノベーション学府博士課程後期)
「「平和への権利」に関する国連の作業部会についてーー第2会期での審議状況を中心に」武藤達夫(関東学院大学法学部准教授)
最終更新:2014年9月11日
「世界における中国の位置づけに関する分析」 劉成(南京大学)
「国境紛争から生活圏へ」 フランシス・デフン・リー(聖公会大学)
「東アジアの安定した平和を求めて」 周睦怡(平和促進財団)
「集団的自衛権と日本」 佐渡紀子(広島修道大学)
最終更新:2014年3月18日
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